第28回日本小児・思春期糖尿病学会年次学術集会
会長 西村 理明
(東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科)
この度、第28回日本小児・思春期糖尿病学会年次学術集会の会長を務めさせていただくことになりました東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科の西村理明です。
さて、2020年から猛威をふるってきました新型コロナ感染症にも、収束の兆しが見えて参りました。私個人としては、“ウィズコロナ“と言う言葉に当初は違和感を覚えましたが、今後、しばらくの間は“ウィズコロナ“というスタンスで医療そして学会活動を継続していく事になると感じております。
しかし、この新型コロナ感染症により、医療は大きな制約を受け、患者さんにとっては医療へのアクセスが制限されました。また、経営上のダメージを受けた医療機関も少なくありません。さらに、世界情勢の大きな変化により、医療品のサプライ等にも無視できない影響が生じております。実際、我が国においてもいくつかの医療品の入手が困難となりました。また、医療機関で勤務する者にとって、まもなく“働き方改革”による勤務時間の上限が適応され、今までのような“働き方”を継続できない医療機関が多数生じることも想像されます。さらに、現状では20歳以上の1型糖尿病患者さんの公的補助も実現には至っておりません。
以上の流れをうけて、第28回日本小児・思春期糖尿病学会年次学術集会のテーマは「持続可能な糖尿病診療をめざして」と、させていただきました。長年、1型糖尿病診療に関わってこられたlegendの先生方、行政サイドから、患者さんサイドから、そして医療従事者の立場から様々な方をシンポジウムにお招きしようと計画しております。そして、この変遷する社会情勢において、「生涯治療を必要とする糖尿病患者さんに、持続可能でシームレス、かつ質の高い医療をいかに提供し続けていくのか」を議論していただく場にしていただきたいと存じます。
また、広く一般演題を募集し、小児・思春期糖尿病に関わる沢山の多職種の方々に、ご発表いただきたいと思います。本学術集会では、若手優秀演題賞の表彰もおこないますので、多くの若手の会員の方々にもご発表頂きたく存じます。そして、本学術集会が、日頃の診療や研究の課題を解決する場になればと考えております。
全国から日本小児・思春期に関わる多数の小児科医、内科医、看護師、栄養士、薬剤師、検査技師等の皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
2022年10月吉日